赤の月が現れなくなり

 代わりに現れたのは青の月



 その意味を知る者は――――――この地上には、少ない。















その後・2
再会
















 感動の再会は、アカガネ族の少女によって一気に騒がしくなった。
 アカガネ族の少女――チウリーが、勢いよく人見の少女――瞳に抱きついたのだ。

「ひっとみ―――ッ! 会いたかったようっ!」

 扉から出て、初めての地上に感動する間もなく抱きついてきたチウリーに、瞳は微笑んで抱き返した。

「チウリー、久しぶりね、元気だった?」
「うんっ、もぉすっごい元気っ! あのねあのねっ、あたし、瞳にいーっぱいお土産持ってきたんだよっ」
「わぁ、本当? ありがとうチウリー」
「えへへへへ」


 瞳が笑うと、チウリーもつられるように笑った。
 チウリーは瞳の笑顔が大好きだった。初めて会ったときもそうだったが、瞳は優しくて、きれいで、それに瞳が笑うと、とっても心が和む。
 心に積もった何かが、その笑顔を見たとたんきれいさっぱり消えてしまう。
 月留に対するものとはまた違う、別の好きだ。良く、判らないけれど。


「…そんでね、何あげたら瞳が喜ぶかなーって考えて、んでもいっぱいそーいうのあったから、ぜーんぶ買ったんだ。
 お金はイヤルド持ち」


 瞳は目を見開いて、よくイヤルドが許したわねと笑った。
 チウリーは、えへんと胸を張って言った。


「だって瞳にあげるんだもん」










「…久しぶり」
「ああ」


 女同士のお喋りを続ける二人の横で、微かに微笑んで、向かい合う。
 お互いに、一ヶ月前に分かれたときのままだ。――月留のほうは、少し、痩せたかもしれない。


「それで、向こうの様子は」
「ああ、ちょっと待った月哉」


 どうなっている、と続けるところを、月留に手で制される。
 自然月哉は怪訝そうな表情になった。何故?

 月留は苦笑して、横目にはしゃぐ瞳とチウリーを見ながら、


「その話はまだよさないか。後で話すよ。それより今、僕はまだ再会の喜びに浸りたい」


 つられて月哉も二人を見遣ると、納得したように頷いた。
 そして、


「それもそうだな。
 …ところで、その“再会の喜び”というのはどうやるんだ。僕にはあんな風に、男と抱き合う趣味はない」


 あんな風に、というのは横ではしゃぐ瞳のチウリーの事だろう。
 確かに。


「…偶然だね、僕にもないよ」



 言って、二人は笑った。













「……オレの立場ってもんは……?」

 出遅れて居場所をなくしたホム・ソーンは、ぽつんと荷物を背負ったまま呟いた。















 青の月が、静かに彼らを見ていた。












とがきという名の駄文

 えーっと、ごめんなさいすみませんもうしません(しょっぱなからそれか)
 その後シリーズ第二弾(爆)
 多分その後シリーズは文庫の話のその後とか、そーいう感じになるかと〜。
 第三段はいつになるでしょう(笑)
 月哉と月留の、こういう感じの会話が最近好きです。特に月留の「僕にもないよ」とか(笑)
 ホム・ソーンは影の王国シリーズの『哀れ』キャラだと思うのですが、あたしだけですかね?(ぉ
 …いや、そうさせてるんか←待て

 
2002.9.27